どうも!アメシカです!
ヨーロッパの皇帝や国王をはじめとする時の権力者たちの頭上には、常に豪華な王冠が光り輝いていました。
すでに王家が無くなってしまった国であっても、その至高の芸術品である王冠は後世まで保存され、今もなお往時の雰囲気を思い起こさせてくれます。
そこで今回は、そんな歴史を彩ってきたと言っても過言ではないヨーロッパの王冠を8つご紹介したいと思います!
目次
ロンバルディアの鉄王冠
ロンバルディアの鉄王冠は、中世前期に作られたヨーロッパ最古の王冠の一つで、キリスト教の聖遺物でもあります。
王冠の内側には1㎝ほどの鉄の輪が取り付けられ、外側には黄金を打ち延し一部にエナメル加工を施した6つの黄金で出来たプレートが蝶番で繋がっています。
また、十字架や花の模様が浮き彫りにされた中に22個の宝石が嵌め込まれています。
なお。この王冠の内側に取り付けられている鉄の輪は、キリストが磔にされた際に使用された釘を引き延ばして作られているという伝承があり、このことから鉄王冠と呼ばれ、聖遺物にもなっています。
現在は、イタリアのミラノ近郊にあるモンツァの大聖堂に保管されています。
聖イシュトヴァーンの王冠
聖イシュトヴァーンの王冠は、現存する王冠の中で唯一の聖なる象徴とされている王冠です。
黄金で出来ており、エナメル画が90枚、宝石、真珠、石榴石などが嵌め込まれ、頂部には十字架が取り付けられています。
ハンガリー王が代々受け継いできた王冠ですが、ハンガリー王国の初代国王であるイシュトヴァーン1世が戴冠式において聖母マリアとの契約を守るために、この王冠に忠誠を誓ったことから聖なる象徴とされるようになったと言われています。
これまでに盗まれたり、失われたり、国外へ持ち出されたりなどしましたが、現在ではハンガリーの内閣府が保管しています。
聖ヴァーツラフの王冠
聖ヴァーツラフの王冠は、11代目のボヘミア王であるカール4世が自身の戴冠式のために作らせたもので、ボヘミアの守護聖人である聖ヴァーツラフに捧げられ、ボヘミア王を象徴するものの一つとして伝えられてきた王冠です。
純度が非常に高い黄金で出来ており、サファイア19個、スピネル44個、ルビー1個、エメラルド30個、真珠20個が嵌め込まれ、非常に豪華なつくりとなっています。
また、伝説によれば、この王冠は聖ヴァーツラフ個人に属するもので正統なボヘミア王の戴冠式のみに使われなければならず、王位を簒奪した者が王冠を被ると1年以内に死ぬと言われています。
実際に、第二次世界大戦中にベーメン・メーレン保護領の副総督であったラインハルト・ハイドリヒがこっそりと王冠を被り、1年以内にチェコのレジスタンスに暗殺されたとされており、ハイドリヒがこっそり王冠を被ったことは確証の無い噂ではありますが、チェコの人々の間では広く信じられています。
現在は、チェコのプラハにある聖ヴィート大聖堂の一部である聖ヴァーツラフ礼拝堂の一室に保管されており、普段は実物を見ることはできない状態となっています。
大英帝国王冠
大英帝国王冠は、イギリス王室祭具の一つで、戴冠式を終えた新しいイギリス国王がウェストミンスター寺院から去っていく際や、イギリス議会の開会式に国王が臨席する際などに使用される、恐らく最も目にする機会の多い王冠です。
交互に配置された4個のクロスパティーと4個のフルール・ド・リスを基調として、その上に4本のハーフ・アーチが十字に架け渡され、内側は白貂の毛皮で縁取ったベルベット帽に、ダイヤモンド2868個、真珠273個、サファイア17個、エメラルド11個、ルビー5個が使われ、大英帝国の気品と権威を思わせる非常に豪華なつくりとなっています。
歴代の国王の趣向や実用性などを鑑みながら製作あるいは修復が行われ、エリザベス女王が使用しているのは1937年にジョージ6世の戴冠式で使用するために作られたものを修復したものになります。
現在は、イギリスのロンドンにあるロンドン塔の宝物館に保管されています。
バイエルン王冠
バイエルン王冠は、バイエルン王であるマクシミリアン1世のために、1806年にナポレオンが作らせた王冠です。
ルビーやダイヤモンド、エメラルド、サファイア、真珠などが嵌め込まれています。
現在は、ドイツのミュンヘン旧市街北部にあるミュンヘン・レジデンツに保管されています。
オーストリア帝冠
オーストリア帝冠は、1602年に皇帝ルドルフ2世が個人的に作らせた、最も芸術性に優れているとされる王冠です。
非常に美麗な金細工で出来ており、4つの三角形のプレートにはオーストリア帝国の覇権の役目と権利が絵画のような精巧な細工で施してあり、ダイヤモンドやサファイア、ルビー、真珠などが多く嵌め込まれています。
元々はルドルフ2世のプライベート用の王冠でしたが、1804年からはこの王冠がオーストリア帝国の王冠となりました。
現在は、オーストリアのウィーンにあるホーフブルク宮殿に保管されています。
神聖ローマ皇帝冠
神聖ローマ皇帝冠は、11世紀から神聖ローマ帝国が崩壊する1806年まで使用された王冠です。
他の王冠とは異なり、8つの黄金のプレートで構成され、前面のプレートには十字架が取り付けられているなど、意図的に東ローマ帝国の皇帝冠に似せて作られたと言われています。
サファイアやエメラルド、アメジストなど合計で144個の宝石と、それと同じ数の真珠が嵌め込まれており、神聖ローマ帝国の皇帝たる権威を象徴しているかのような豪華なつくりとなっています。
現在は、オーストリアのウィーンにあるホーフブルク宮殿に保管されています。
教皇冠
教皇冠は、ローマ教皇の地位を象徴するものとして、歴代の教皇ごとに作られてきた冠です。
王冠を3つに重ねた形状から、三重冠とも呼ばれています。
教皇の地位を象徴する冠であることから、黄金と様々な宝石で極めて豪華に飾られており、冠そのものは金メッキの銀で出来ています。
3つの王冠の意味は、「司祭・司牧・教導の三権」を、また「天国・煉獄・教会」を表しているとされています。
また、バチカン市国の国旗や国章の意匠にもなっています。
歴代の教皇が戴冠してきた教皇冠ですが、最近戴冠が行われたのは第262代教皇であるパウロ6世までで、それ以降の教皇は戴冠を行っていません。
これは、教皇冠があまりにも権威的すぎるなどの意見があるためとされており、現在の教皇であるフランシスコも戴冠を行いませんでしたから、今後この教皇冠が戴冠されることは無くなっていくと考えられています。
まとめ
ヨーロッパでは、様々な皇帝や国王が、その権威や神への誓いを示すものとして王冠を作らせ、戴冠してきました。
歴史の中で革命などに倒れた王家は少なくありませんが、王家がいなくなってもなお王冠は残り続け、王家の面影を今に伝えています。
個人的には、王冠は権威の象徴という部分がある一方、その国の文化や技術力、芸術性の全てが注ぎ込まれた至高の芸術品であるという部分もあるかと思います。
権威という言葉に惑わされて、素晴らしい芸術品であり歴史の重みを証明する王冠が簡単に失われないことを切に願います!
それでは、チュース!